》は佐渡《さど》と云《い》ふ所《ところ》は、上野《うへの》から碓氷《うすひ》を越《こ》えて、雪《ゆき》の柏原《かしはばら》、關山《せきやま》、直江津《なほえつ》まはりに新潟邊《にひがたへん》から、佐渡《さど》は四十五里《しじふごり》波《なみ》の上《うへ》、と見《み》るか、聞《き》きかするものだ、と浮《うつか》りして居《ゐ》た。七日前《なぬかぜん》に東京驛《とうきやうえき》から箱根越《はこねごし》の東海道《とうかいだう》。――分《わか》つた/\――逗留《とうりう》した大阪《おほさか》を、今日《けふ》午頃《ひるごろ》に立《た》つて、あゝ、祖母《おばあ》さんの懷《ふところ》で昔話《むかしばなし》に聞《き》いた、栗《くり》がもの言《い》ふ、たんばの國《くに》。故《わざ》と下《お》りて見《み》た篠山《さゝやま》の驛《えき》のプラツトホームを歩行《ある》くのさへ、重疊《ちようでふ》と連《つらな》る山《やま》を見《み》れば、熊《くま》の背《せ》に立《た》つ思《おもひ》がした。酒顛童子《しゆてんどうじ》の大江山《おほえやま》。百人一首《ひやくにんいつしゆ》のお孃《ぢやう》さんの、「いくのの道《みち》」
前へ
次へ
全28ページ中11ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
泉 鏡花 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング