「小主公《わかだんな》、貴方《あなた》はなぜそう弱くおなんなすったね、病《やめえ》なんざ気で勝つもんです。大方何でしょう、そんな引込思案をなさいますのは、目のためじゃあござりますまい。かえってその御病気のために、生命《いのち》も用《い》らないという女のあるせいでしょう。可《よ》うがす、何そりゃ好いた女《やつ》のためにゃあ世の中を打棄《うっちゃ》るのも、時と場合にゃ男の意地でさ、品に寄っちゃあ城を一百一束《いっそくひとからげ》にして掌《てのひら》に握るのと違わねえんでございましょうが、何ですぜ、野郎の方で、はあと溜息《ためいき》をついて女児《あまッこ》の膝に縋《すが》るようじゃあ、大概《たいげえ》の奴あそこで小首を傾《かし》げまさ。汝《てめえ》のためならばな、兜《かぶと》も錣《しころ》も何《なッ》ちも用《い》らない、そらよ持って行きねえで、ぽんと身体《からだ》を投出してくれてやる場合もあります代りにゃ、女《あま》の達引《たてひ》く時なんざ、べらんめえ、これんばかしの端《はした》をどうする、手の内ア受けねえよ、かなんかで横ッ面《つら》へ叩きつけるくらいでなくッちゃあ、不可《いけ》ませんや。
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