月令十二態
泉鏡花
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)山嶺《さんれい》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地より5字上げ]大正九年一月―十二月
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ちら/\と
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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一月《いちぐわつ》
山嶺《さんれい》の雪《ゆき》なほ深《ふか》けれども、其《そ》の白妙《しろたへ》に紅《くれなゐ》の日《ひ》や、美《うつく》しきかな玉《たま》の春《はる》。松籟《しようらい》時《とき》として波《なみ》に吟《ぎん》ずるのみ、撞《つ》いて驚《おどろ》かす鐘《かね》もなし。萬歳《まんざい》の鼓《つゞみ》遙《はる》かに、鞠唄《まりうた》は近《ちか》く梅《うめ》ヶ香《か》と相《あひ》聞《き》こえ、突羽根《つくばね》の袂《たもと》は松《まつ》に友染《いうぜん》を飜《ひるがへ》す。をかし、此《こ》のあたりに住《すま》ふなる橙《だい/\》の長者《ちやうじや》、吉例《きちれい》よろ昆布《こんぶ》の狩衣《かりぎぬ》に、小殿原《ことのばら》の太
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