かかるあさましき最期! こはこれ何者の為業《しわざ》なるぞ。ここに立てるわが身のなせし業なり。われながら恐ろしきわが身かな、と白糸は念《おも》えり。渠の心は再び得堪《えた》うまじく激動して、その身のいまや殺されんとするを免《のが》れんよりも、なお幾層の危うき、恐ろしき想《おも》いして、一秒もここにあるにあられず、出刃を投げ棄《す》つるより早く、あとをも見ずしていっさんに走り出ずれば、心急《こころせ》くまま手水口の縁に横たわる躯《むくろ》のひややかなる脚《あし》に跌《つまず》きて、ずでんどうと庭前《にわさき》に転《まろ》び墜《お》ちぬ。渠は男の甦《よみがえ》りたるかと想いて、心も消え消えに枝折門まで走れり。
 風やや起こりて庭の木末《こずえ》を鳴らし、雨はぽっつりと白糸の面《おもて》を打てり。

       六

 高岡|石動《いするぎ》間の乗り合い馬車は今ぞ立野《たての》より福岡までの途中にありて走れる。乗客の一個《ひとり》は煙草火《たばこび》を乞《か》りし人に向かいて、雑談の口を開きぬ。
「あなたはどちらまで? へい、金沢へ、なるほど、御同様に共進会でございますか」
「さようさ、
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