うが、その連中には見せなんだか。」
「ええ、物好《ものずき》に試すって、呼んだ方もありましたが、地をお謡いなさる方が、何じゃやら、ちっとも、ものにならぬと言って、すぐにお留《や》めなさいましたの。」
「ははあ、いや、その足拍子を入れられては、やわな謡《うたい》は断《ちぎ》れて飛ぶじゃよ。ははははは、唸《うな》る連中|粉灰《こっぱい》じゃて。かたがたこの桑名へ、住替えとやらしたのかの。」
「狐狸や、いや、あの、吠《ほ》えて飛ぶ処は、梟《ふくろ》の憑物《つきもの》がしよった、と皆|気違《きちがい》にしなさいます。姉さんも、手放すのは可哀相や言って下さいましたけれど、……周囲《まわり》の人が承知しませず、……この桑名の島屋とは、行《ゆき》かいはせぬ遠い中でも、姉さんの縁続きでござんすから、預けるつもりで寄越《よこ》されましたの。」
「おお、そこで、また辛い思《おもい》をさせられるか。まずまず、それは後でゆっくり聞こう。……そのお娘《こ》、私《わし》も同一《おんなじ》じゃ。天魔でなくて、若い女が、術《わざ》をするわと、仰天したので、手を留めて済まなんだ。さあ、立直して舞うて下さい。大儀じゃろう
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