のを救《すく》はれたんだつて、母様《おつかさん》のお膝《ひざ》に抱《だ》かれて居《ゐ》て、其晩《そのばん》聞《き》いたんだもの。だから夢《ゆめ》ではない。
一躰《いつたい》助《たす》けて呉《く》れたのは誰《だれ》ですッて、母様《おつかさん》に問《と》ふた。私《わたし》がものを聞《き》いて、返事《へんじ》に躊躇《ちうちよ》をなすつたのは此時《このとき》ばかりで、また、それは猪《いぬしゝ》だとか、狼《おほかみ》だとか、狐《きつね》だとか、頬白《ほゝじろ》だとか、山雀《やまがら》だとか、鮟鱇《あんかう》だとか鯖《さば》だとか、蛆《うぢ》だとか、毛虫《けむし》だとか、草《くさ》だとか、竹《たけ》だとか、松茸《まつたけ》だとか、しめぢだとかおいひでなかつたのも此時《このとき》ばかりで、そして顔《かほ》の色《いろ》をおかへなすつたのも此時《このとき》ばかりで、それに小《ちひ》さな声《こゑ》でおつしやつたのも此時《このとき》ばかりだ。
そして母様《おつかさん》はかうおいひであつた。
(廉《れん》や、それはね、大《おほ》きな五色《ごしき》の翼《はね》があつて天上《てんじやう》に遊《あそ》んで居《ゐ》る
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