して置《お》いた声《こゑ》を、紙鉄砲《かみでつぱう》ぶつやうにはぢきだしたものらしい。
で、赤《あか》い鼻《はな》をうつむけて、額越《ひたひごし》に睨《にら》みつけた。
「何《なに》か」と今度《こんど》は応揚《おうやう》[#「応揚」はママ]である。
私《わたし》は返事《へんじ》をしませんかつた。それは驚《おどろ》いたわけではない、恐《こは》かつたわけではない。鮟鱇《あんかう》にしては少《すこ》し顔《かほ》がそぐは[#「そぐは」に傍点]ないから何《なに》にしやう、何《なに》に肖《に》て居《ゐ》るだらう、この赤《あか》い鼻《はな》の高《たか》いのに、さきの方《はう》が少《すこ》し垂《た》れさがつて、上唇《うはくちびる》におつかぶさつてる工合《ぐあい》といつたらない、魚《うを》より獣《けもの》より寧《むし》ろ鳥《とり》の嘴《はし》によく肖《に》て居《ゐ》る、雀《すゞめ》か、山雀《やまがら》か、さうでもない。それでもないト考《かんが》えて七面鳥《しちめんちやう》に思《おも》ひあたつた時《とき》、なまぬるい音調《おんちやう》で、
「馬鹿《ばか》め。」
といひすてにして沈《しづ》んで来《く》る帽子
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