お》いてある、この小《ちい》さな窓《まど》から風《ふう》がはりな猪《いぬしゝ》だの、奇躰《きたい》な簟《きのこ》だの、不思議《ふしぎ》な猿《さる》だの、まだ其他《そのた》に人《ひと》の顔《かほ》をした鳥《とり》だの、獣《けもの》だのが、いくらでも見《み》えるから、ちつとは思出《おもひで》になるトいつちやあ、アノ笑顔《わらひがほ》をおしなので、私《わたし》もさう思《おも》つて見《み》る故《せい》か、人《ひと》があるいて行《ゆ》く時《とき》、片足《かたあし》をあげた処《ところ》は一本脚《いつぽんあし》の鳥《とり》のやうでおもしろい、人《ひと》の笑《わら》ふのを見《み》ると獣《けだもの》が大《おほ》きな赤《あか》い口《くち》をあけたよと思《おも》つておもしろい、みいちやんがものをいふと、おや小鳥《ことり》が囀《さへづ》るかトさう思《おも》つてをかしいのだ。で、何《なん》でもおもしろくツてをかしくツて吹出《ふきだ》さずには居《ゐ》られない。
だけれど今《いま》しがたも母様《おつかさん》がおいひの通《とほ》り、こんないゝことを知《し》つてるのは、母様《おつかさん》と私《わたし》ばかりで何《ど》う
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