頬白《ほゝじろ》は智恵《ちゑ》のある鳥《とり》さしにとられたけれど、囀《さへづ》つてましたもの。ものをいつて居《ゐ》ましたもの。おぢさんは黙《だんま》りで、傍《そば》に見《み》て居《ゐ》た私《わたし》までものをいふことが出来《でき》なかつたんだもの、何《なに》もくらべこして、どつちがえらいとも分《わか》りはしないつて。
何《なん》でもそんなことをいつたんで、ほんとう[#「とう」に「ママ」の注記]に私《わたし》さう思《おも》つて居《ゐ》ましたから。
でも其《それ》を先生《せんせい》が怒《おこ》つたんではなかつたらしい。
で、まだ/\いろんなことをいつて、人間《にんげん》が、鳥《とり》や獣《けだもの》よりえらいものだとさういつておさとしであつたけれど、海《うみ》ン中《なか》だの、山奥《やまおく》だの、私《わたし》の知《し》らない、分《わか》らない処《ところ》のことばかり譬《たとへ》に引《ひ》いていふんだから、口答《くちごたへ》は出来《でき》なかつたけれど、ちつともなるほどと思《おも》はれるやうなことはなかつた。
だつて、私《わたし》母様《おつかさん》のおつしやること、虚言《うそ》だと思《お
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