の農場から一マイルほどの道を大急ぎで駈けつけて來たのだつた。
別荘は玄關にも裏口にも固く錠が降りてゐた。そして、扉を叩いてみても、中はしいんと鎭まり返つてゐた。
「今晩は、今晩は‥‥」
さすがに胸騷ぎを感じながら、カアルソンは二三度大聲に呼んでみた。が、答へるのは自分の聲の木魂ばかり‥‥。
カアルソンは何とはなしにぞつとした。老人夫婦がこんな宵の内に家を締めるなどは今までにないことだ。それに、かちかちに凍りついた物干綱にさがつてゐるあの洗濯物! それは一昨日訪ねて來た時とそつくりそのままではないか?
「こいつアただ事ぢやないぞ。」
さう呟くと、カアルソンはもう夢中で駈け出した。そして、老人が毎日牛乳を買ひに行く、すぐ近所の農夫仲間ロフベルグの家の門口をやけに叩いた。
「己アたつた今ゼツテルベルグさんのところを訪ねて來たんだが‥‥」
と、カアルソンは息を切らしながら、
「と、ところが、臺所にやアちやんと電氣がついてるのに、うんともすんとも返答がないんだよ。」
「ヘエ、そりや妙だな。」
と、ロフベルグも怪訝らしい顏附で、
「實ア己も何か變つたことがあるんぢやないかと思つてたとこ
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