点]と狸[#「狸」に傍点]という競技をするのだが、狐になったずるい彼女のために散々狸の私は打ち負かされてしまうのであった。
――アダ、貴女はずるい! いまになって貴女の深いたくらみが私には分ってきた。
――妾は深いたくらみを持っているのです。Y、貴方が妾を愛するまでは。
ゴールブル山脈に熱帯風が吸いこまれて、午後の強風に身を揺られながら私達はいつとはなしに深い愛情を感じていた。
底本:「吉行エイスケ作品集」文園社
1997(平成9)年7月10日初版発行
底本の親本:「吉行エイスケ作品集1[#「1」はローマ数字、1−13−21] 地図に出てくる男女」冬樹社
1977(昭和52)年9月30日第1刷発行
※底本には「吉行エイスケの作品はすべて旧字旧仮名で発表されているが、新字新仮名に改めて刻んだ。このさい次の語句を、平仮名表記に改め、難読文字にルビを付した。『し乍ら→しながら』『亦→また』『尚→なお』『儘→まま』『…の様→…のよう』『…する側→…するかたわら』『流石→さすが』。また×印等は当時の検閲、あるいは著者自身による伏字である。」との注記がある。
入力:田辺浩昭
校正:地田尚
2001年2月19日公開
2006年5月20日修正
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