マホメットの墳墓
トルコ皇帝陛下は近頃メジナにある回々教祖《フイフイきょうそ》マホメットの墓に電灯をつけて神聖な墓地の闇を照らそうという事を思《おぼ》し召《め》し立たれて英国の某会社に右の工事一切を御下命になったと伝えられている。
女皇陛下の電話
昨年の暮ポルトガルの女皇アメリー陛下がパリに御滞在中の出来事である。一日パリ・ロンドン間の長距離電話に故障があってただ一線しか通じないので、電話申込人は何十人もつかえて順番の来るのを待ち兼ねている有様であった。その時ブリストル旅館から英京のバッキンガム宮へ通話を申込んだものがある。交換手は「七十五番ですからも少し御待ちなさい」とやると失望の嘆声が聞えてやがて「アメリー女皇から英皇へ御話しがしたいのだが」と云った。そこで交換局では畏《かしこま》って早速接続すると女皇陛下は御満足で、ものの小半時間もゆるゆる後対話があった。他の電話申込人等はそんな事とは知らず、待てども待てども順番が来ぬ、殊にパリの銀行家など一刻を争う経済上の交渉をひかえているので気は気でない。時の立つうちにどんな事が起ろうかと青くなり赤くなったという話である
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