れは鉱山の坑夫などで多数の人の生命を救い危険を除くために自分の生命を賭した者に授与するはずだという。その綬《リボン》は青に黄の縁《ふち》を取ったもので一等二等に区別されてあるそうな。
結核病研究の万国会議
来年九月二十一日より十月十二日まで米国ワシントン府で表題の会議が開かれる。全体七部門に分れて、結核に関する病理、療法、予防その他一切の会議をするはずで、また開会中は該病に関する展覧会を開いて公衆に観せるそうである。[#地から1字上げ](明治四十年十二月十八日『東京朝日新聞』)
[#改ページ]
五十二
ペストと蚤
ペストと云えば鼠を聯想するが、鼠族の間にこの病毒を拡めるものは蚤だという事がだんだんに確かめられるらしい。ある人が天竺鼠《てんじくねずみ》について試験したところによれば、たとえ健全なのと病にかかっているのとを接近させぬようにしておいても蚤が移ると感染する。また健全な方を籠に入れて吊しておいても、蚤が飛び上がる事の出来るくらいの高さに吊したのではやはり感ずるが、それ以上高くするか、また細かい網に入れて蚤の出入りせぬようにし
前へ
次へ
全72ページ中43ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
寺田 寅彦 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング