ぬ。
[#地から1字上げ](明治四十年十二月二十九日『東京朝日新聞』)
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五十七
婦人と動物学者
テキサス大学のモントゴメリー教授は、衣服その他の粧飾に鳥類の羽毛を使用する事を絶対的に禁じたいと論じている。単に米国で鳥の濫殺を禁ずるのみならず、輸入もやめなければ無効である。鳥の捕獲が盛んになればますます羽毛が安くなり使用高が次第に増して結局は鳥の種類が絶えるようになるだろうと云っている。
[#地から1字上げ](明治四十年十二月三十日『東京朝日新聞』)
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五十八
蜂に螫《さ》された時
アンモニア水が蜂の針の毒を消す事はよく人の知る処であるが、ある人の経験では、それよりも幾那《キニーネ》をアンモニア水に溶かした丁幾《チンキ》が一層有効だそうである。
火山の変形
昨年四月イタリアのヴェスヴィアス山がやや烈しい噴火をやったが、その後同国陸軍地理局で測量を行った結果によると、噴火前における最高点の高さ海抜千三百三十五メートルあったのが千二百二十三メートルに減じている。その代りに地獄谷《ウアルレデルインフェルノ》などという窪みは五メートルないし五十メートルの高さに埋められたそうである。
[#地から1字上げ](明治四十一年一月一日『東京朝日新聞』)
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五十九
結核病と食物
結核菌を接種した動物に種々の食物を与えて病の経過を試験した結果によると、脂肪分を主に与えたものは四十日くらいで死し、含水炭素殊に砂糖を多く与えたものは八十七日くらいで死んだ。これに反して含窒素食物を主に食わせた動物は三百七十一日生きていたそうである。
[#地から1字上げ](明治四十一年一月二十五日『東京朝日新聞』)
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六十
灯台の光色
海上で遠い灯台を見出した時その光の色が赤だか青だか分りにくい事がある。その時は双眼鏡か何かで見て肉眼で見たのと比較し、もし肉眼で見る方がよく見えればその灯色は赤光で、そうでなければ青か白だという。
屍体とX光線
生きている人体の腹部をX光線で照らし写真を撮っても胃や腸を識別する事が出来ぬが、死後間もなく写して見ると明らかにこれらの臓腑の所在
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