夢判断
寺田寅彦
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)強直《こうちょく》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一向|利目《ききめ》が
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から1字上げ](昭和十年一月『文芸春秋』)
−−
友人が妙な夢を見たと云って話して聞かせた。それは田舎の農家で泊った晩のことである。全身がしびれ、強直《こうちょく》して動けなくなったが、それが「電気のせい」だと思われた。白い手術着を着た助手らしい男がしきりにあちこち歩き廻ってそれを助けてくれようとするのだが、一向|利目《ききめ》がないので困り果てたところで眼がさめたのだという。さめて見たら枕が無闇《むやみ》に固くて首筋が痺《しび》れていたそうである。
私はその一両日前の新聞記事に巡査が高圧線の切れて垂れ下がっているのを取りのけようとして感電したことが載せてあったのを思い出したので、友人にそれを読んだかと聞いたら読んだという。それならそれがこの夢を呼出した一つの種だろうということになった。寝た部屋が真暗で、電燈をつけようと思ったら電球が外ず
次へ
全5ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
寺田 寅彦 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング