り扱う場合には、これらの個々の場合は問題とならず、ただ平均の関係だけが結果として現われるであろう。降雨のほうでは、全雨量の平均幾割幾分が開場時間に落ちるかが定まり、また外出する市民の平均幾%がこの百貨店に入り、その平均幾%がX売り場に到着しその中の平均幾%が買い物をし、そうして一人の支払い額が平均いくばくであるということが考え得られるとすれば、この問題は一つの合理的な研究問題として成立する。そうして雨量と売り上げとの相関は一つの合理的な研究問題として採用せられ、その研究の結果から、季節による変化とか、いわゆる景気の影響とかいうものが摘出されうる可能性をも予想することができるであろう。
 地震と漁獲との関係もかなりこれに類したものである。魚は必ずしもいつも地震に感じまた反応しなくともよい。また駿河湾《するがわん》のすべての魚を数えずとも、一漁場で一つの網にかかったものだけ数えればよい。その際、おりおり出漁の休日があっても、また魚の数え損じがあってもさしつかえはない。すべての関係量に関してただそれぞれに一定の「平均」というものが存在しさえすればよいのである。
 銀座通《ぎんざどお》りの両側
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