こし》をかついで回っている光景である。おおぜいの押し合う力の合力の自然変異のために神輿が不規則な運動をなしている状態は、顕微鏡下でたとえばアルコホルに浮かぶアルミニウムの微細な薄片のブラウン運動と非常によく似た状態を示している。もちろん活動写真にでもとってほんとうに調査してみなければわからないが、おそらく両者の間にはかなり似寄った方則が存在するのではないかと想像される。神輿の運動の変異量と、その質量や舁夫《かつぎて》の人数、各人の筋力、体量等との間に或《あ》る量的関係を見いだすことは充分可能でありそうに思われる。
 今、たとえば、次のような問題があったとする。一年三百六十五日間における日々の甲某百貨店の第X売り場における売り上げ高と日々の雨量との関係いかんということが問題になったとする。これはともかくも応用気象学上の一つの問題となりうるであろう。雨は市民の外出に若干の影響を及ぼしうると考えられる。もちろん降雨の時刻と人々の外出時刻との関係でこの影響はいろいろになりうる。また百貨店閉場中の時間の降雨は問題の売り上げ高には関係しない。それにも係わらず、多数の日数を含む統計的素材を統計的に取
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