土佐の地名
寺田寅彦
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)転訛《てんか》する
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)隣国|讃岐《さぬき》は
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)サ※[#小書き片仮名ト、1−6−81]
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地名には意味の分らないのが多い。これはむしろ当然の事である。地名は保存されつつ永い年代の間に転訛《てんか》する、一方で吾々の通用語はまたこれと別の経路を取って変遷するからである。こういう訳であるから地名の研究が民族の過去の歴史を研究する上に重要な意義をもつのは勿論である。しかしそういう意味から地名を研究する場合には、現在の通用語をもって解釈しようとするのでは、無駄でないまでも有効でない。結局循環論理のようなものに陥ってしまう恐れがある。また旧い記録例えば記紀のごときものの記事にあるような語源説が信用出来ないという事は既に学者の明白に認めているところである。それではほとんど唯一の有意義な方法と考えられるのは、現在日本人と隣
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