る。たとえば「礼服を着ないでサラダを出した」といったような種類のものである。
 先端的なものの流行《はや》る世の中で古いものを読むのも気が変わってかえって新鮮味を感じるから不思議である。近ごろ「ダフニスとクロエ」の恋物語を読んでそういう気がするのであった。今のモボ、モガよりもはるかに先端的な恋をしているのである。アリストファーネスの「雲」を読んで学者たちが蚤《のみ》の一躍は蚤の何歩に当たるかを論ずるところなどが、今の学者とちっとも変わらない生き写しであることをおもしろいと思うのであった。「六国史《りっこくし》」を読んでいると現代に起こっていると全く同じことがただ少しばかりちがった名前の着物を着て古い昔に起こっていたことを知ってあるいは悲観しあるいは楽観するのである。だんだん読んでいると、古い事ほど新しく、いちばん古いことが結局いちばん新しいような気がして来るのも、不思議である。古典が続々新版になる一方では新思想ものが露店からくずかごに移されて行くのも不思議である。
 それにしても日々に増して行く書籍の将来はどうなるであろうか。毎日の新聞広告だけから推算しても一年間に現われる書物の数は数
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