測者の名前とその測量年度を表記したものを手にすることができた。しかし今ここでその表の一小部分でも載せることは紙面の制限上到底許されない。それでここではただ現在陸地測量部地形図の恩恵をこうむりながらそれを意識していない一般の読者に、そうした隠れた貢献者が一枚一枚の図葉の背後に存在することを指摘し注意を促すよりほかに道はない。
 近年になってまた日本の陸地測量部は一つの新しい方面で世界の学界に偉大な貢献をするようになった。それは同一地域の三角測量や精密水準測量を数年を隔てて繰り返し、その前後の結果を比較することによってわれらの生命を託する地殻《ちかく》の変動を詳しく探究することである。近着のアメリカ地理学会の雑誌の評論欄にわが国の地球物理学者の仕事を紹介してあるその冒頭に「地殻《ちかく》変動の測定に関してはいかなる国民も日本人に匹敵するものはない」と書いてある。
 この重要な研究の基礎となる実測資料は実にことごとくわが陸地測量部員の汗血の結晶でできたものである。もっともこの測量には多大の費用がかかるのであるが、それは幸いに帝国学士院や、原田積善会《はらだせきぜんかい》、服部報公会《はっとり
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