だを無理に元気を出して、捨鉢に歩いてでもいるような気がした。何だかいたいたしいような心地がした。黒の中折を冠った下から黒い髪の毛が両耳の上に少しかぶさっていたように思う。こんな記憶が今かなりはっきり浮んで来るが、これが果して事実であったのか、あるいは覚え違いであるかも分らない。
[#地から1字上げ](大正十四年六月『木星』)
底本:「寺田寅彦全集 第八巻」岩波書店
1997(平成9)年7月7日発行
底本の親本:「寺田寅彦全集 文学篇」岩波書店
1985(昭和60)年
初出:「木星」
1925(大正14)年6月1日
※初出時の署名は「吉村冬彦」です。
入力:Nana ohbe
校正:松永正敏
2006年7月13日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全2ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
寺田 寅彦 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング