れはいわゆる海陸風と呼ばれているもので、昼間は海から陸へ、夜は反対に陸から海へ吹きます。少し高いところでは反対の風が吹いています。
 これと同じようなことが、山の頂きと谷との間にあって山谷風《さんこくふう》と名づけられています。これがもういっそう大仕掛けになって、たとえばアジア大陸と太平洋との間に起こるとそれがいわゆる季節風《モンスーン》で、われわれが冬期に受ける北西の風と、夏期の南がかった風になるのです。
 茶わんの湯のお話は、すればまだいくらでもありますが、今度はこれくらいにしておきましょう。



底本:「日本の名随筆33 水」井上靖編、作品社
   1985(昭和60)年7月25日第1刷発行
※底本の誤記等を確認するにあたり、「寺田寅彦全集」(岩波書店)を参照しました。
入力:砂場清隆
校正:田中敬三
2000年10月3日公開
2003年10月30日修正
青空文庫作成ファイル:
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