にして――これはコントロールがむつかしいかもしれないが――そうして新しい日本画を募集してみたらどうであろう。その結果はおそらく沈滞した日本画界に画時代的の影響を及ぼすようなものになりはしないか。そうなったら自分も一つやってみようかなどとこのようなたわいもない夢のような事を思うのもやはり美術シーズンの空気に酔わされた影響かもしれない。
 勝手なことを書いて礼を失したところが多いと思う。しかし私の悪口は絵に対しての悪口である。名前をあげた限りの「人」に対しては好意と敬愛のほか何物も持っていない事をこの機会に明らかにしておきたい。悪言多罪。[#地から2字上げ](昭和二年十一月、霊山美術)



底本:「寺田寅彦全集 第四巻」岩波書店
   1961(昭和36)年1月7日第1刷発行
初出:「霊山美術」
   1927(昭和2)年11月
入力:Cyobirin
校正:浅原庸子
2005年9月21日作成
青空文庫作成ファイル:
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