書簡(2[#「2」はローマ数字2、1−13−22])
寺田寅彦
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)懇篤《こんとく》な御すすめ
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)結局|不知不識《しらずしらず》に
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から1字上げ](昭和八年一月『アララギ』)
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拝復。始終『アララギ』を送って頂いておりながらほんの時々しか読んでいないので甚だすまない気がしております。今度二十五周年記念号を出すので何か書くようとの懇篤《こんとく》な御すすめがありましたので何かと考えてみましたが右様の次第でありますからほとんど何も申上げる材料はないのでありますが、せっかくの御すすめでありますから、ただほんの少しばかり思い付いたことを申上げたいと思います。
私ども平生自分で歌を作っていないものにとっては、ただ一本立の歌に対する興味はどうしても薄いようであります。しかし連作風に数首を連ねたものには、一種不思議な興味を感じさせられます。一首一首の巧拙などはもちろんよく分らなくても、全体として見たときに感ずる一種
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