みやすく、その効果も見当がつくような気がする。
世の中の人の心は緊張と弛緩《しかん》の波の上に泛《ただよ》っている。正と負の両極の間に振動している。
「善行日」ばかりを奨励するのも考え物ではあるまいか。少なくとも「悪行日」をこれと並行錯雑させて設けてみるのも一つの案ではあるまいか。昔の為政家は実際そういう事をしたもののように見える。
しかし私のこの案はやはり賛成してくれる人はなさそうである。私のいうような「悪行日」はだんだん廃止される。最近にはまた勉強の活勢力を得るための潜勢力を養うべき「怠け日」であった暑中休暇も廃止されるくらいであるから。[#地から1字上げ](大正十一年九月『中央公論』)
底本:「寺田寅彦全集 第三巻」岩波書店
1997(平成9)年2月5日発行
入力:Nana ohbe
校正:noriko saito
2004年9月25日作成
2005年11月10日修正
青空文庫作成ファイル:
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