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(1) これについてはかつて藤原《ふじわら》博士が地理学評論誌上で論ぜられた事がある。
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以上のものとは少し違った部類のものであるが、氷柱や鐘乳石《しょうにゅうせき》が簡単な円錐形《えんすいけい》または紡錘形となる代わりに、どうかすると、表面に週期的の皺《しわ》を生じ、その縦断面の輪郭が波形となることがある。この原因についてもあまりよく知る人がないようである。この場合にもやはり表面を流下する液体の運動にある週期性があって、それがまた同時に氷結と融解、あるいは析出と沈着との週期性を支配するものである、とまでは想像しても悪くないであろう。しかしこの場合にも熱的対流が関係するか、それとも、単に流水層の渦層《かそう》の器械的不安定によるものであるかは、今後の詳細な実験的研究によってのみ決定さるべきであろう。
次に思い及ぶものは、だれもが昔からよく問題にする、水の波や流れやまたは風による砂泥《さでい》の波形である。これは、地面に近く、水平流速の垂直分布に急な変化があるために存する渦動層が、不安定のために個々の渦柱に分裂する結果であろう
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