を平田《ひらた》理学士と共同研究した結果では、この場合にもやはり一種の弾性的不安定が関係しているであろうと思わせるような事実を認めた。
 しかし、実験的現象として見た割れ目の現象はなかなか在来の簡単な理論などでは追いつきそうもない複雑多様なものであって、これに関する完全な説明のできる前にはまだまだ非常にたくさんの実験観察ならびにそれからの帰納的要約が行なわれなければならない。そうして新しい「割れ目の方則」が発見されなければならないであろうと想像される。そういう次第であるから、わが国で、鈴木清太郎《すずきせいたろう》、藤原咲平《ふじわらさくへい》、田口※[#「さんずい+卯」、第4水準2−78−35]三郎《たぐちりゅうざぶろう》、平田森三《ひらたもりぞう》、西村源六郎《にしむらげんろくろう》、高山威雄《たかやまたけお》諸氏の「割れ目の研究」、またこれに連関した辻二郎《つじじろう》君の光弾性的研究や、黒田正夫《くろだまさお》君のリューダー線の研究、大越諄《おおこしまこと》君の刃物の研究等は、いずれも最も興味ありまた有益なものである。また一方|山口珪次《やまぐちけいじ》君の単晶のすべり面の研究
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