には世の中では論理的の証明はわりに要求されないで、オーソリティの証言が代用されそのおかげで物事が渋滞なく進捗《しんちょく》するのであろう。

 自画像をかきながら思うようにかけない苦しまぎれに、ずいぶんいろんな事を考えたものである。それをもう一ぺん復習するようなつもりで書いてみるとずいぶんくだらない事を考えたものだと思う事もあるが、また中にはもう少し深く立ち入って考えてみたいと思う事もないではない。
[#地から3字上げ](大正九年九月、中央公論)



底本:「寺田寅彦随筆集 第一巻」小宮豊隆編、岩波文庫、岩波書店
   1947(昭和22)年2月5日第1刷発行
   1963(昭和38)年10月16日第28刷改版発行
   1997(平成9)年12月15日第81刷発行
入力:(株)モモ
校正:かとうかおり
2003年5月29日作成
青空文庫作成ファイル:
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