ろ「たはけ」に似ている。(Ar.)fariha は「喜ぶ」で「わらふ」に似ている。
「あさましい」はまた (Skt.)vismayas で「驚く」ほうにも通じるが、それよりも元の smi, smaya で微笑にもなる。
 (Skt.)garh は非難するほうだが軽蔑《けいべつ》して笑うほうにもなりうるのである。これも g+r である。そう言えば「愚弄《ぐろう》」もやはり g+r だから妙である。
「べらぼう」も引き合いに出たが、これについて手近なものは 〔(Skt.)prabhu_〕 また parama でいずれも「べらぼう」の意がなくはない。しかしまた、「強い」ほうの意味の bala から出た balavat だって似ていなくはない。「珍しい」「前例のない」ほうの 〔apra_pya, apurva〕 でも、やはり日本式ローマ字で書くと p+r+b(m) の部類にはいる。これらはサンスクリトとしてはきわめて明白に、それぞれ全く異なる根幹から生じたものであるのに、音のほうではどこか共通なものがあり、同時に意味のほうにも共通なものがあるから全く不思議な事実である。
 英語の brave 
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