教育映画について
寺田寅彦

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)少なくも我邦《わがくに》では

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)映画|殊《こと》に発声映画

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から1字上げ]
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 教育資料としての映画の価値の多大なことは誰でも認めてはいるようであるが、しかしこの問題については、少なくも我邦《わがくに》では、まだあまり十分に研究されていないか、ともかくも一般的興味の対象とはなっていないようである。その証拠には、芸術映画に関する色々の著書や翻訳書が沢山に出版されているにもかかわらず、教育映画に関する書物や論文が、あるかもしれないがあまり普通には見当らないのである。また文部省内には教育映画に関する調査委員会のようなものが設けられてあるそうであるが、その業績として世間一般に広く認められているものはないようである。
 しかしこの問題は現在考えられているよりはもっともっと重大な問題であって、当局者は勿論日本の将来という事を考えるすべての人によってもう少し真面目に講究されなければならな
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