瞼《まぶた》が重くなって灰吹《はいふき》から大蛇が出た。
十六日 涼しいさえさえした朝だ。まだ光の弱い太陽を見詰めたが金の鴉も黒点も見えない。坩堝《るつぼ》の底に熔けた白金のような色をしてそして蜻※[#「虫+廷」、第4水準2−87−52]《とんぼ》の眼のようにクルクルと廻るように見える。眩《まぶ》しくなって眼を庭の草へ移すと大きな黄色の斑点がいくつも見える。色がさまざまに変りながら眼の向かう方へ動いて行く。[#地から1字上げ](明治三十三年十月『ホトトギス』)
底本:「寺田寅彦全集 第一巻」岩波書店
1996(平成8)年12月5日発行
入力:Nana ohbe
校正:佳代子
2003年12月14日作成
青空文庫作成ファイル:
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