゚いめいの室のただ一つの窓から地平線のわずかな一部を見張っている。たださえ狭い眼界は度の強い望遠鏡でさらにせばめられる。これらの人のために、この大建築から離れた所に、小さな小亭《しょうてい》が建てられている。ここへ来れば自分の住まっている建築が目ざわりにならずに、自由に四方が見渡される。しかるにせっかく建てたこの小亭があまり利用されないでいたずらに風雨にさらされているとすればこれは惜しい事である。これは人々があまり忙し過ぎるせいかもしれない。そうだとすればこれらの人々を駆使している家主が責任を負わなければなるまい。しかし中には暇はあっても不精であったり、またわざわざ出かけるよりも室の片すみで茶をのんだりカルタでもやるほうがいいという人があるならばそれはその人々の勝手である。
この叢書のへんまで見て来るとかなりくたびれる。特にここで何か買いでもすると、もう急に根気がなくなって地理や歴史などの所はほんののぞいて見るだけでおしまいにする場合が多い。決してこの方面の書物に興味がないわけではないが、ただ自然に習慣となった道順の最後になるために、いつでもここが粗略になるのである。一度ぐらいは、こ
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