へ飛び込んではじめてその致命的な狂奔を停止した。うしろにすわっていた運転手は咄嗟《とっさ》の出来事に茫然《ぼうぜん》としてどうすることもできなかった。道路をそれて樹にぶつかるまでの時間は一秒の十分の一にも足りない勘定になるので、まったく考えるよりも速い出来事だったに相違ない。そうして運転手が眼前の出来事を意識した瞬間にはもうすべてが終わっていたわけである。
これが昔の日本であったら、この二代続きの遭難はきっと何かしらもっともらしい迷信でつづられた因縁話の種を作ったかもしれない。
しかし因縁が全然無いこともない。それは先代の皇帝も今の皇帝も自分でハンドルを握って墜落の危険の絶無ではないような道路を走らせることに興味を持たれたという事がたしかに一つの必然な因縁でつながれているのである。すなわち一つの公算的な因果の現われだともいわれるであろう。[#地から1字上げ](昭和十年十月十五日)
[#改ページ]
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聯合艦隊が芝浦《しばうら》に集合して、昼は多勢の水兵が帝都の街頭に時ならぬユニフォームの花を咲かせ、夜は品川湾の空に光芒《こうぼう》の剣の舞を舞わせた。
この日病
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