トル。食堂、社交室、喫煙室の壮大はもちろん、劇場、教会堂、水泳プールから保安警察のようなものまで具備している。全く掛け値なしに海上のビルディングである。
 数週前の同じ雑誌には大西洋横断旅客飛行機リュートナン・ドゥ・ヴェーソー・パリ号のことが出ていた。重量三七トン、動力五千三百馬力で、三四トンの荷物を積み、毎時一七五キロメートルないし二二〇キロメートルの速度で大西洋を無着陸で飛ぼうというのである。
 フランスに現在「世界一熱病」の流行していることがうかがわれる。
 日本もいろいろな精神的なことでは世界一を自信しているようであるが、科学とその応用方面でどれだけの自信があるか疑わしい。多くの方面ではむしろ反対に一生懸命「世界一」になることを忌避《きひ》しているのではないかと思われるふしがある。日本人の出した独創的な破天荒なイデーは国内では爆発物以上に危険視される。しかし同じ考えが西洋人によって実現され成効するのを見ると、はじめてやっと安心して、そろそろその成果の模倣をはじめる。「外国のに劣らぬものができた」というのが最高の誇りである。しかしそれができたころには外国ではもう次の世界一が半分で
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