編纂にはやはり単に文科方面のみならずあらゆる主要な自然科学の各部門からの代表者を集めて資料選択の任に当たらせる必要があるかと思われる。
 多くの人の見るところでは、小学の教科書には忠良なる文化的日本人として一生知らなくてもたいしてさしつかえのないような事項が数々ある一方で、知らなくてはならないとわれわれに思われる事で書いてないことがたくさんあるようである。
 たとえば手近なところで震災火災風災に対する科学的常識とか、細かいことではたとえば揮発油取り扱いの注意とか、誤って頭を打撲したときの手当とかいうものは万人必要の知識であるが自分の知る限り少なくも十分には取り扱われていない。
 I博士の言うところを無断で借用すれば、ドリアンという臭くてうまいくだもののことなど知らなくても日本人の一分《いちぶん》は立つのである。またこうした種類の知識は心がけのある児童で後日そういう知識を必要とするような階級になるべき素質をもったものなら教科書で教わらなくても雑誌などからいくらでも覚えるであろうし、また、一生そんな知識を要しないような階級の子供ならせっかく教科書で骨折って教えてもおそらく三年たたない間にき
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