はなんらの害を及ぼさない程度の放電によって馬が斃死《へいし》しうるかどうかという事である。これについてはおそらくすでに文献もある事と思われるが、自分はまだよく承知していない。ただ馬が特に感電に対して弱いものであるという事だけは馬に関する専門家に聞いて確かめる事ができた。なおこれについては高圧電源を用いていくらも実験する事が可能であり、またすでにいくらかは実験された事かもしれない。しかし実験室で、ある指定された条件のもとにおいて行なわれた実験が必ずしも直接に野外の現象に適用されるかどうかは疑わしい。結局は実際の野外における現象の正確な観察を待つ必要がある。
ギバの現象が現時においてもどこかの地方で存在を認められているか。もしいるとすればこれに遭遇したという人の記述をできるだけ多く収集したいものである。読者の中でもしなんらかの資料を供給されるならば大幸である。
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(この「怪異考」は機会があらば、あとを続けたいという希望をもっている。昭和二年十月四日)
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[#地から3字上げ](昭和二年十一月、思想)
底本:「寺田寅彦随
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