でも同じであるはずである。
つまり私は臆病であったおかげでこの臆病の根を絶やすことが出来たような気がする。私は臆病ではあったが未練ではなかったのだと思っている。だから自分の臆病を別に恥ずかしいとは思っていないのである。
この年取った、そして、少しばかり風変りな科学者のこの話は、子供を教育する親達にも何かの参考になりそうである。また同時にすべての人々にとっても「こわいもの」に対する対策の一般的指導原理を暗示するようにも思われるのである。[#地から1字上げ](昭和六年十二月『家庭』)
底本:「寺田寅彦全集 第二巻」岩波書店
1997(平成9)年1月9日発行
入力:Nana ohbe
校正:浅原庸子
2005年3月16日作成
青空文庫作成ファイル:
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