な古い昔の異郷の奇習の物語が一々現代の吾々の生活にかすかながらある反響のようなものを伝えるのが不思議と云えば不思議でもある。「天《あめ》が下《した》に新しいものはない」というのはこういう事を指していうのかもしれない。
もう少しよく捜したら貴重な未来の新思想の種子がこの忘れられた古い書物の中からいくらも拾い出せそうな気もする。[#地から1字上げ](大正十一年四月『解放』)
底本:「寺田寅彦全集 第七巻」岩波書店
1997(平成9)年6月5日発行
入力:Nana ohbe
校正:noriko saito
2004年11月24日作成
青空文庫作成ファイル:
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