りノートへしるすことはせなかった。教科書以外の物に書いておくと、第一あれこれと読むたびに出して見るのがめんどうである。また教科書を開いてみると、いっしょに抜き書きも読むことができるという便利があるので、あえて自分は教科書をもよごしたわけである。
故意になまけるというと、なんだかおかしく聞こえるが自分はいやになった時、無理につとめて勉強をつづけようとはせず、好きなようにして遊ぶ。散歩にも出かければ、好きなものを見にもゆく、はなはだ勝手気ままのやり方ではあるが、こうして好きなことをして一日遊ぶと今まで錯雑していた頭脳が新鮮になって、何を読んでもはっきりと心持ちよくのみ込める。
また、自分は読書するにしても、机の前に正しくすわって几帳面にやる時もないではないが、いかにも性質上そう堅苦しくする事を好まない。だから時々どこへなりとすわったなりそのまま本を手にして、読みつづける時もあれば、横になって見ることもあり、寝て読む時もある。ほとんど読書する時の態度は一定しなかった。要するに不規律のやり方ではあるが、どうも自分の性質として、窮屈に勉強するより、楽に自分の気に入ったようにするほうが、心がゆ
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