子供の保護
エマ・ゴオルドマン
伊藤野枝訳
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)尤《もっと》も
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き](第三次『労働運動』第七号、一九二二年九月一〇日)
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ボロ/\
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一
共産主義国家によつてつくられた、そしてごく真面目な努力を阻んでゐる嘘の中で、子供の利益の為めにしたボルシエヰキの活動と云ふ事程、悪いそして明かな事は何処にもない。尤《もっと》もロシヤの子供達の生活に就いて云はれてゐる多くの事は、たゞの噺《はなし》にすぎないとは云へ、しかし其のための非常な試みのあつた事は認めなければならない。が、何故其の試みは失敗したか?
私は、一九一九年、メデイソン・スクエア・ガアヅンで挙行された十月革命の第二回紀念日に、一人の演説者から受けた感銘をはつきりと覚えてゐる。
其の人は丁度ロシアから帰つて来たばかりだつた。彼は、ロシアでの子供の保護と取扱ひとを説いて、聴衆へ非常な感奮を与へた。私の心は其の国の人々の
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