だけの自信を持つには、私はあまりに貧弱な自分に愛想をつかしましたから。それから、それに私のすべてを打ち込むには、子供と私の間にたくさんの異った分子がはいっていました。そしてそれを除くということはどうしても子供と二人っきりにならねばなりませんでした。そうするのは、多くの人を傷けるような事になってくるのがハッキリ私には見えました。その結果を恐れずにやるだけの決心はつきかねました。
子供のことを考えていますと、終わりにはどうしても自分の事になってきました。そうしてそこまで考えてゆきますと、今度は自身だけの事がいちばん大きな問題になってきました。見すぼらしい自分に対するいろいろな苦痛が湧き上ってきました。そしてそれに伴ってくるものは絶望ではなくていつでも焦慮でした。
二
「どうにかしなければならない」という欲求はしばらくの間も私を離れたことはありませんが、そういう場合にはことに強く来ました。けれどもこういう欲求をいつまでも同じ強い調子で持ちすぎていました。そして、そのために欲求はますます強くなってゆくのと同じに、私の焦れ方も強くなってきました。
けれどもなかなか明瞭にそのこと
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