して、アパートへ帰ると、もう自炊する元気もないくらい疲れた体を、古綿を千切って捨てるように、夜具の上へ投げ出した途端に、もう夢の世界だった。
夢の中で、京吉と踊っていた。ぐっしょりと汗をかきながら、踊っていた――と思ったのは、しかし、ふと眼をさましてみれば、盗汗だった。半年近いホール生活で、すっかり体をこわしたのだろうか、こんなに盗汗をかいてるわ――と思う前に、なぜ京ちゃんと踊っている夢を見たのだろうと、何か自分でも思いがけぬ触感のリズムが伴う胸苦しい甘さの後味に驚いていた。
あたし京ちゃんと踊りたいのかしら、あたし踊りたい人なんかいなかったのに。そんな下品なこと考えてみたこともなかったのに。いいえ、夢にも思ったこともないのに。あたしは男の人と踊っても、ただ石になっていたのに。石には触感はない。あたしの触感があたしを裏切るなんて。あたしこんな下品さがあるなんて。おや、あの匂いは何だろう。
アパートの中庭の金木犀の花が、雨に濡れて匂っていたのだ。その匂いをふっと甘く感じた途端に、再び陽子は眠りに落ちていた。
浅い眠りのその中で、陽子はまた踊っていた。京吉と踊っていたのだが、耳の傍
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