たが、拘置所の脱走さわぎのドサクサで危く助かった。ほっとしたものの、しかし、同時に北山を見失ってしまうと、もうカラ子は京吉に会わす顔のない想いに、がっかりしてしまうのだった。
自分ひとりの力でスリをつかまえて、京吉にひき渡す時の喜びの期待に燃えて、チョコチョコ大阪までつけて来たのだが、今はその喜びも空しく、京吉のいる京都へトボトボ帰って来た足は、雨に濡れた心のように重かった。
しかし、京都へついたその足でセントルイスへ来てみると、むろん京吉はいなかった。マダムの夏子も、誰かとアベックでリベラルクラブの発表会へ行ったのか、店にはいなかった。
「兄ちゃんからことづけは……」
「ないわよ」
と、店の女の子は、日曜の夜は北野で待ち合わす男がいるのに、マダムの夏子がいつまでたっても帰って来ないので、出掛けられず、いらいらしていたのか、真赤に塗った唇が冷淡だった。
すごすごとセントルイスを出ると、カラ子は無性に京吉に会いたくなった。
「兄ちゃん、かんにんえ」
スリを逃がしたの――と、一言顔を見てあやまれば、
「ばかッ!」
と、横面を殴られて、おめえなんかもう絶交だと、坂野の細君の芳子と
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