の顔だった。
「…………」
 京吉も半泣きの顔だった。――女ってみなばかだ。茉莉は死ぬし、陽子は誘惑されるし、この女は間男して亭主の所を逃げ出す……。おまけに、何も知らずに電話を掛けやがる。おやッ、姙娠してけつかる。おシンの奴もでかい腹だったっけ!
「兄ちゃん、早う……」
 行かないと見失うわよと、カラ子はそんな京吉に、気が気でない声をあげた。あ、そうだと、京吉はセントルイスを飛び出した。カラ子もついて飛び出して来て、
「あっちよ」
 と、河原町通りの方へ歩いて行くスリを指した時、芳子がバタバタと出て来た。そして血相をかえて、木屋町の方へ小走りに行こうとする――のを、京吉は、
「どこへ行くんだ……?」
 と、とめた。
「余計なお世話よ。どこへ行こうと……」
 あたしの勝手よ――と、いわんばかしに突っぱなしたそのいい方には、祇園荘へいるとにらんだ銀ちゃんに会いに行こうとする女の思いつめた激しさが読み取れた。
「おい、ちょっと待った」
「はなしてよ!」
「いや、はなさねえ」
「やぶけるわよ!」
「ねえ、待ってくれよ。祇園荘に行くんだろう……? ねえ、おれ頼むよ。行くのかんべんしてくれよ。ね
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