を速達で送ってくれたらええのや」
 その間待っているつもりなのかと、豹一は野崎の底抜けのお人善しに驚いてしまった。彼が忘れるのは教科書だけでなく、例えば自然科学の時間などに、べつの合併教室へ移動するのを忘れ、ぽかんとひとり教室に坐っていることがよくある。独逸語の訳読をやらされるときなど、いきなり三頁位先の方を読み出して、皆んなを面くらわせることもある。ラグビー部へ一週間ほどはいっていたが、練習の時間を故意にすっぽかすと思われて、部を除名されたということだ。だから、仮装行列の練習時間もうっかり忘れたのであろうと、豹一は思ったのである。何れにしても、不参加者が一人増えたわけだと喜んでいると、野崎は、
「俺は色が黒いやろ。しゃから、色が黒くても南洋じゃ美人というあの歌がきらいやねん」と言い、顎をなでて、
「今日一ぺん化粧《やつ》してこましたろ思て、髭剃ったんやけど、あとからなんぞつけるのん忘れたよって、ひりひりして痛いわ」と言うのだった。豹一はこんなことが平気で言える野崎がにわかに好きになった。その大阪弁も好きだった。自分がわざと標準語まがいの学生言葉を使っているのが恥しかった。なにか野崎の
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