った。初心だが、醜い女だった。
「こんなことになったら、もうあんたと別れられへんわ」乾いた声で言った。なにか哀れだった。
豹一はふと、多鶴子もこんな哀れなありさまを矢野に見せたことがあるのだろうかと、辛い気持で見ていた。
「捨てんといてね」友子は何度も言った。そして、豹一の膝に頭をくっつけたまま離れなかった。膝が熱くなって来た。
死んだように生気のない頭髪を、豹一はちょっと触ってから、いきなり友子を突き離した。
それきり、友子に会わなかった。
三月経った。
ある日、豹一が日本橋筋一丁目の交叉点を横切っていると、うしろから、女の声で呼び止められた。振り向くと、友子が着物の裾を醜くみだして、追って来るのだった。はっと立止ったが、信号が黄に変っていたので、豹一はその気もなくどんどん横切ってしまった。なにか逃げているような気がした。
友子は信号にかまわず横切って来た。
「あんた探してたんやわ」傍へ来ると、友子はもう涙ぐんでいた。
近くの木村屋の喫茶店へはいった。ソーダ水のストローをこなごなに噛み千切りながら、友子は妊娠している旨豹一に言った。
豹一ははっとした。友子は白粉気なく
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