気持よく見ながら、玄関を出てから、封を切ってみると、一月分のサラリーがそっくりそのままはいっていた。
 豹一はふたたび会計のところへ戻って、なにかの間違いではないかと言った。
「さあ。僕にはわからん、君、まだ辞職届を出してへんかったのとちがうか。届が出てなかったら、こっちは辞めてないもんと認めるさかいな。一月分渡さんならん。しかし、まあ、多いよって、文句はないやろ」
「そんなら、僕はまだ馘首になっていないんですか。もう半月も無断で休んでるのですが」そうきいていると、うしろから不意に、
「気の弱い奴だな」声がした。振り向くと、土門が前借の伝票をもって立っていた。「そんなことで新聞記者が勤まるか。半月ぐらい休んだかて、なにが馘首になるもんか。君、撲られて気絶したんだろう? 一月ぐらい入院して、当り前のところだ」そう土門は言った。
「しかし、……」そのために「中央新聞」に書かれて、社に迷惑を掛けたのだから……と、言うと、土門は、会計係と前借のことで押問答しながら、
「うちの社はそんなことで馘首にするような水くさい社とちがう。水くさいのは会計だけや」背中で言って、「さあ、編輯長に挨拶して来給え
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