うと、そんなことはどうでもよかった。ただ、三日前の節季に豹一がいなかったということは、はなはだ残念なことであった。貰うべき下宿代も貰えなかったのだ。それだけが癪だった。だから、顔を見るなり、呶鳴りつけたい気持だったが、しかしさすがに安二郎は慎重だった。下手に呶鳴りつけて、怒らすと再び飛び出してしまうおそれがあると、豹一の気性をのみこんでいたから、お君が嬉し涙をこぼしたほど、口調を柔らげたのである。
「家をあけるのは、そら構へんぜ、しゃけど、きまりだけはきちんとしといてもらおう。節季はもう過ぎてるぜ」それだけを言った。
頭から呶鳴りつけて来るものと身構えていたから、豹一はすかされた気持だった。
(なるほど、金のことを言いやがったわい)豹一は思わずにやりと微笑した。
一見はなはだ和かな風景であった。
「利子をつけてお渡しします」
「いつくれるんね?」
「今夜お渡しします」
「そうか? 間違いなや」
安二郎はちらと上機嫌な表情を見せた。お君が豹一のために食事を出してやっているのを見ても、この際いやな顔はせぬことにした。
母親の給仕でお茶漬を食べていると、豹一はじーんと気が遠くなるほど
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