はわざと腕組みなどしていたがなにかそわそわと落ちつかなかった。
「後列右から二番目の娘に惚れるなよ」土門は豹一に囁いた。
豹一は何気なく後列の右から二番目の踊子を見た。途端にどきんとした。足に見覚えがある。
先刻弥生座の前で土門を待っていた時、鮮かな印象を風のなかに残してさっと通り過ぎた少女にちがいはない。顔はしかと見覚えなかったが、痛々しいほど細いその足が心に残っていた。その時三人いたのだが、その少女だけ靴下を穿かず、むき出した足が寒そうに赤かった。
「なんという子ですか?」豹一は思わず訊いた。土門は答えた。
「東銀子」
ずんぐりと太い足にまじっているために、なよなよしたその細い足は一層目立っていた。病身の少年のように薄い胸だった。削りとったような輪郭の顔に、頬紅が不自然な円みをつけていた。耳の肉が透いて見えそうだった。睫毛の長い眼が印象的だった。
にこりともせずに、固い表情で踊っていた。つんとした感じを僅かに救っているのは、おちょぼ口をした可愛い唇であった。済まし込んで踊っているのだと、見れば見られたが、豹一はふっと泣きたそうな表情を銀子の顔に見たように思った。きびしい甘さ
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