ンクした。豹一が土門の横顔を見ると、土門は生真面目な顔をしていた。
「親友です」
 バンドがタンゴの曲を伴奏すると、中井一と森凡はのろのろと立ち廻りをはじめた。急に笑い声がおこったので、なにがおかしいのかと、気をつけてみると、彼等浪人者は立ち廻りしながらタンゴのステップを踏んでいた。「もはや、これまで! さらばじゃ!」中井一はすたこらと逃げ去ってしまった。倒れていた森凡はのっそり立ち上ると、「後を慕いて!」言いながら、着物の裾をからげた。赤い腰巻が見えた。「これは失礼」森凡は裾を下した。途端に幕が降りた。
 豹一はわれを忘れてげらげらと笑った。腹が痛くなるほどだった。ふと土門の顔を横眼で見ると、土門は案外つまらなそうな顔をしていた。豹一はすかされたような気になった。(面白くないのだろうか?)しかし、根っからの大阪人である土門に、以前なら知らず、この喜劇の底抜けの面白さがわからぬという筈はなかった。が、じつは土門はこの幕をもうかれこれ十日間も打っ続けに見ているのである。否応なしに見せられているのである。土門の目的は次の幕のレヴューにあった。
 やがてレヴュー「銀座の柳」の幕があいた。土門
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